市立特別支援学校の「府移管」に反対します

市障教ニュース号外(全教職員配布)2014年9月16日

 発行:大障教(大阪市立障害児学校教職員組合&大阪府立障害児学校教職員組合)

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Web編集部注 9月12日の市会教育こども委員会に続き、9月19日の市会本会議で条例は可決されました。(賛成:維・公・自・み・無 反対:共)

府議会あて署名運動をすすめています。詳しくはこちら

大阪市会 教育こども委員会 市立特別支援学校の「府移管」を認める

「100年以上行ってきたものを、なぜ今移管なのか。移管についての不安、懸念がある。

地域との関係が途切れないか。どのサービスも低下があってはならない」と各会派が指摘………

問題点の議論を真摯に行い、関係者への十分な説明を!

「都構想」の先取りではなく、速やかな教育条件の改善を!

 大阪市は、市立の特別支援学校を大阪府に移管するとして、市立の特別支援学校11校(2015年度開校の2校を含む全12校)を廃止する条例案を本会議に提出しました。移管の実施は、2016年度を予定しています。9月12日には、大阪市会の教育こども委員会での審議が行われ、条例案は、維新・公明・自民等の賛成多数で承認されました。条例案は大阪市会本会議に提案され、可決される見通しです。十分な説明や慎重審議を求めていた、大阪の障害児教育をよくする会等、関係者の願いを踏みにじる決定と言えます。

1.「都構想」先取りは認められない

 大阪市立特別支援学校の府への移管は、今年の1月28日の府市統合本部会議で、橋下市長と松井知事が合意した方針で、学校関係者には何の説明も無く一方的に進められてきました。大阪市では独自に、視覚特別支援学校と聴覚特別支援学校で0歳~2歳の早期教育、視覚特別支援学校など3校に寄宿舎を設置、医療的ケアが必要な子どもたちのために保護者や代理人のスクールバスへの同乗などを実施しています。

 12日の教育こども委員会の審議で、早期教育については「乳幼児に関する教育相談は、(中略)、移管に伴って変更されることはない」、寄宿舎については「利用児童生徒に不利益にならないよう事業を継続(移管後、今後のあり方を検討としています)」などと大阪市教委は答弁しました。しかし、大きなポイントである府移管の理由については、「特別支援学校は学校教育法第80条の規定により都道府県に設置義務がある」との説明があるのみです。全国で最初の知的障害校として1940年に開校した思斉特別支援学校など、長い伝統を持つ市立の障害児学校を、なぜ今になって府に移管しなければならないのか、本質的な議論はなされませんでした。

 今回の決定は、まさに「都構想」の先取りとも言えるものです。その「都構想」に関する議論に関しても、大阪府議会・大阪市会で混乱が続いており、いまだに今後の見通しはたっていません。このような中で、障害児学校の府移管のみが先行して決定されることには何の道理もなく、断じて認められるものではありません。

2.教育条件の後退を招くおそれ

 すでに、大阪の障害児教育をよくする会(以下「よくする会」)が、8月29日に、「教育環境の大きな後退を招き、道理がない」として、個人署名8073(その後8550)・団体署名49を添えて、府への移管を行わないように求める陳情書を、大阪市会議長宛に提出しました。「よくする会」は、大阪市独自の施策が継続されるのか、障害児学校の過大・過密や長時間通学など解決すべき課題の解消が、財政が厳しい大阪府に移管されることによって、一層遅れることになるのではないかという強い危惧を、陳情書の中で表明しています。

 12日の教育こども委員会では、大阪市の独自施策については、継続されると答弁がありました。しかし、過大・過密の解消について市教委は、「府立支援学校3校開校に伴い、府立の教室不足は解消すると聞いている。大阪市においては、新校開校で教室不足は解消する」などと答弁しています。これは、実態を正確に反映した答弁とは言い難いもので、来年4月に新校が開校したとしても、府立支援学校の全てで教室不足が解消する保障はありません。大阪市立の特別支援学校においても同様の状況だと考えます。

 通学区域の変更について市教委は、「移管に伴って通学区域を変更する予定はない」と答弁したものの、「移管後、府の対応で将来的に通学区域の柔軟な設定で、通学時間の短縮が可能と考えている」などとも述べています。しかし、大阪府教委は「今後は通学区域割の変更などによる対応を検討していく必要がある」との姿勢で、子どもたちの生活圏を軽視し、長時間通学につながる通学区域割を実施しています。移管によって長時間通学の解消が実現する保障はどこにもありません。

 さらに、移管に係る初期経費や、移管後の建替等の施設整備費など、大阪府が新たに負担することになる費用は、今後10年間で約260億円と試算されています。こうした支出に対しての財政的保障についても、現段階では明らかにされていません。

3.地域に根ざした学校づくりこそ必要

 昨年9月に「学校教育法施行令の一部を改正する政令」が施行され、これまで都道府県が行っていた特別支援学校への就学の決定を、市町村教育委員会が行うことになりました。また、地域の小中学校等に対する支援も、特別支援学校の重要な役割として強調されています。こうした情勢を考えれば、政令指定都市である大阪市が、障害児学校に関する行政責任を放棄する等、時代の流れに逆行するものだと言えます。この観点について、12日の教育こども委員会で慎重に審議されたとは、とても思えません。大阪市会での決定を受け、9月府議会では府立学校として設置するための条例案の審議が行われます。問題点の議論を真摯に行うことを求め、障害児学校の適正規模・適正配置実現をめざした運動を、父母・府民と共同して引き続きすすめます。